しょんべんおばけ日記

40代会社員 Agender Aromantic

気軽に首相にプラカ出そ?

 

   岸田文雄の選挙カーと、プラカードを持った人たち。左は「貧しい日本を招いた責任をとれ!」というプラカ。右に「ポイズン!」というプラカード。

 

ヤジポイの会さんの   岸田首相にヤジを飛ばす – ヤジポイの会   の記事を読みました。

 

私たちもこの日、岸田首相の演説に行ってたんですが、ちょうど近くにヤジポイ裁判の人がいて、お話しできちゃって楽しかったです。

私たちもメディアの人に写真を撮られたりしてびっくりしました。やっぱ首相演説ともなると報道とかいろいろするんだなー?とかぼんやり思ってたんですけど、なるほど、ヤジ排除裁判で違憲判決が出て完敗した北海道警察が、今回の演説ではヤジ・プラカにどう対応するのかが注目されていたんですね!

 

おかげさまでどこかに引きずっていかれることもなく、無事に抗議活動ができましたー!感謝です!

 

 

市民の声をちゃんと聴け!

実は私は政治家の演説にプラカードを持っていったのは初めてだったんですが、この数日後に安倍さんが襲撃されお亡くなりになったことに、めちゃくちゃショックを受けています。

政治批判が暴力を誘発したのだという非難もいくつか見かけましたが、全くの的外れだと思います。政治家に、「市民の批判は聞かない」という立場を取られちゃったら、問題解決できませんよね。逆にめっちゃ危ないと思います。

警備ってどんなふうにやっているのかって、あまり気にしたことなかったんですが、HBCの番組ではいろいろ解説されていて、背後に建物があるところでやるとか、車に銃撃を防ぐ板があるとか、高さがあると銃で狙っても弾が命中しづらいとか、いろんなポイントがわかりました。ヤジやプラカ排除と警備とは全く別物ですね。

異なる立場や意見の人々に出会うことはとても重要です。この番組を見て、多くの人が言論の自由を実際に「行使し続ける」ということが、すごい大事なんだなーと気づきました。

 

「安倍元総理銃撃とヤジ排除問題」2022年7月15日放送 - YouTube

www.youtube.com

 

 

で、私の初めての抗議活動、実際にやってみたらめっちゃ楽しかったです!!

 

みてみて、プラカード!いっぱい作ったんだよ!

 

2022年7月3日、参院選岸田首相の演説。

私たちが掲げたプラカードは4枚。

         

 

 「ていねいな議論」でごまかすな!! マイノリティの人権を大切にしろ!

 貧しい日本を招いた責任をとれ! アベノミクスを総括しろ!

 夫婦別姓同性婚など 家族の形の決定権を国民の手に!!

 くたばれ!「伝統的家族観」 日本の伝統はもっと多様だぞ

 

めっちゃいいメッセージじゃない?

当日朝にうちのパートナーがマジックでコキュコキュと書きました。こんなんサラサラ書けるなんて、まじ尊敬っす。ちなみに紙は弟がくれたカレンダーの裏ですが、弟はLGBTQの権利とかには反対派です。

 

きっかけは、LGBT差別冊子が自民党議員らの会合で配られた事件です。

LGBT精神障害や依存症であり治療や信仰によって治すことができる」という、百年前?みたいな訳のわからないことを言い出されて、LGBT界隈ガチギレ。東京ではデモとかやってました。冊子を作ったのは『神道政治連盟』という団体で、神社本庁とかいう神社の元締め的なところの人たちだそうです。

一体、なぜ神社が、LGBT夫婦別姓にこんなにめっちゃガチで反対してるんでしょうか???自民党がいう「伝統的家族観」とかいう謎の信念は、神道の教義なんですか?

なんか、前から何回も何回もこういう差別的なこと言うんですよねー。神政連とか日本会議とか自民党とか。なんなんすかねー?

とりあえず巻き込まれた精神疾患や依存症のかたに申し訳ないです。

news.yahoo.co.jp

 

「同性愛は精神の障害か依存症」 自民会合で配布の文書に差別的内容 [自民]:朝日新聞デジタル

 

同性婚なんてすでに世論は7割とかが賛成してるにもかかわらず、「生産性がない」「国が滅ぶ」とか差別発言撒き散らし、「慎重に議論を」とか言いながらLGBT法案提出を断固阻止し続けている自民党を、支持者の人たちはどう思ってるんすか?自分にはカンケーねーし的な感じっすか?そういうことすんなら今後、結婚祝出すの断固拒否しますよ?

 

あほあほ3人組、派手なシャツで颯爽と駅前へ!

派手なレインボーのシャツとマスクで、どこからみてもLGBTな感じで行ったので、警察とかがめっちゃこっちを見てきます。えー、ほんとにやるのー?とビビって尻込む私を友人が列の前の方にぐいぐい誘導し、パートナーもでーんとプラカを掲げます。

しょーがないから私も友好的な笑顔でレインボーフラッグを掲げてみると、近くに緑のプラカードを持った人がいたので、チラッと会釈しました。良かったー、他にもいるー。

手に持ったプラカに「ヤジ」と書いてあったので、ニュースとかで見たヤジポイ裁判の人だと気づいて、めっちゃテンション上がりました。きゃー、ファンなんですー、的な。会うといきなりファンになるのかよ、俺。

ヤジポイのポイってポイズンだったんすね。知らんかった。

 

ともあれ、(ヤジポイさんがいるなら私たちが警察にとっ捕まって拷問されたりはしなさそうー💕)とか思って安心したので、私も「マイノリティの人権を尊重しろ!」の紙を持ってみると、急に面白くなってきました。

だって、首相も議員も自民のスタッフも、めっちゃ目をそらすんだもん。その辺の市民が紙持って立ってるだけで追い払ったり、裁判するとか、一体この国はどうなってんすか?

ヤジ裁判の人ともご挨拶できて、調子乗って、そのまま次の大通公園での演説もハシゴして行くことにしました。

 

         家族の形の決定権を国民の手に!マイノリティの人権を尊重しろ!

 

大通公園。もしや自民党、嫌がらせのために写真撮った?

こう見えて職場にトランスジェンダーだってカミングアウトしてないんすよ。トラブルになると圧倒的に我々が損するので、後ろの聴衆の方の視界を遮らないよう花壇の前に立ち、大人しく立っていたのですが、急にすぐ目の前に大きなカメラを持った人が立ちはだかり、無断で正面から至近距離で写真を撮られました。スーツを着て、自民党の腕章をつけているので報道の人ではありません。

 

私たちがびっくりしていると、近くにいた二人組が振り返って、

「どうして自分たちが写真を撮られたのかと思えば後ろにお前たちがいたのか。自分たちも同じだと思われると迷惑だ」と言われ、トラブルになりました。私は、「私たちも勝手に撮られて迷惑です。自民党の腕章をしていたから撮ったのは自民党です。文句は自民党に言ってください」と言い返しました。すると私の持っていた夫婦別姓同性婚を求めるプラカードを見て、「そんなのはお前らの勝手だろ!」と言い、二人は離れていきました。私、言い返してえらかった。

自民党は、批判者に「黙れ」「立ち去れ」と言うために写真を撮っているのだと思いました。なんだったら、支持者にトラブルを起こさせて、強制的に排除する口実を作ろうとしているのかと疑うレベルの無礼さです。

つくづく1000円カットではなく4000円のお店で散髪すればよかったと後悔しています。頭がダサい。くそぅ〜、貧しい日本にしやがって

 

いっぱい知らない人と話したぜ、LUSHさんありがとう

とはいえ、それ以外は楽しいコミュニケーションがたくさんできました。

ヤジポイさんが道警の間抜けな動画を見せてくれて楽しかったし、私たちのプラカの写真も一緒にツイートしてくださって、すごく嬉しいです。

支持者の方と口論になったのを見ていた近くにいた方が「私は賛成です」と、同性婚をめぐる政治状況や自民党がどんな対応をしているか、この問題で活動している団体が知りたいとかたくさん質問されたり、LGBTQの当事者たちはどんな法制度を望んでいるかを質問されたりしました。

ちょうどJRタワーにあるLUSHというきれいなバスボムのお店でもらったMarridge for all Japan さんのチラシを持っていたので、それを渡したり、国会議員の同性婚への賛成反対を調べることのできる国会メーターのサイトを紹介したりしました。

同性婚啓発キャンペーンをやっていて、かっこいいポストカードいっぱいもらっちゃった💕 LUSHさんありがとう!!

 

 

その後の報道を見て思うこと

驚いたことに朝日新聞の地方面で私たちのプラカードが報道されていました。

選挙でジェンダー関連の問題って、ほんと後回しにされまくってんなとイライラしてたんで、本当に嬉しいです。記事を親に見せたらご褒美にポテロングをくれました。

digital.asahi.com

<現場から 政治に何望む>3年前ヤジ排除の市民 私たちの声、届いてますか 札幌で首相演説:北海道新聞 どうしん電子版

 

こちらの道新の記事、「反対意見を伝えるのは大事だと思う」という高校生の方のコメントが、ほんとに私も「NO!」って当たり前に言っていいんだなって気持ちになりました。周囲にいる市民がどう振る舞うかって、実はすごい重要なんじゃないでしょうか。今後は私もプラカ持ってる人を見たら関心を持って意見を聞いてみようと思いました。

 

あとやっぱりHBCの報道はめちゃくちゃ良いですよね!

私たちにもインタビューしてくださった方が、あの「ヤジと民主主義」のドキュメンタリーを制作した記者さんだったようで、もう一度観たんですけど、なんか・・・本当に辛い。

www.youtube.com

 

 

ヤジを守ることは、あらゆる社会問題を共有したり議論したりできる民主主義社会を守ること。黙っていることは社会全体の不利益に、とりわけ、より厳しい状況にいる人たちの不利益になってしまう。

排除される人たちに対して、たくさんの聴衆が誰一人助けることもせず、無関心であるさまが不気味すぎるんだけど、もっと怖いのは、もし2019年に私があの現場で大杉さんや桃井さんたちがつきまとわれる光景を見ていたとしても、やっぱりあの聴衆たちと同じように私も振る舞ってたんじゃないかと思ったこと。本当に申し訳なく思います。

2019年のあの日、私も偶然街にいたんだけど、演説会場からずいぶん離れたところでプラカ持ってた人が警察と話してるの見かけたのに、関心を持たずにそのまま通り過ぎてしまった。後から報道見ているうちにだんだん理解してきて、で、実際私も街に出てみた今、めちゃくちゃ後悔してる。

 

個人が権力者に対してものをいうことを警察が阻止するような、そういう国にしない責任は、実は一般の市民にこそあるのかもしれない。

 

もっと気軽にプラカだそ?

 

 

余談。何バズってんすか、めっっちゃウケたわ