炭水化物
母が泊まりに来ている。
父が死んでから、主に経済的事情でずっと母と暮らしていたのだが、多少の対立を契機に母は一駅先に引っ越した。
母は、夫がいないと一人では暮らせない、と父が死ぬまえは頻りに不安がったが、死んでしまえばなんと暮らすのの簡単なことか。
生活を複雑困難にしていたのは父だったから、死んで年月が経つごとに私たちは自由になっている。
アホ親父がなんの財産も残さず(ゴミは処理に200万円かかる量を残し)、すべて医療費と趣味に使い切ったから、母は70代にしてまだアルバイトをしている。
いつか旅行に行きたいと語るが、このままだとただただ安い賃金で働き、たいした趣味もなく、不当に低い年金で暮らし、このまま老いるのだろう。私自身の老後も似たようなものかもしれない。子や孫がいない分、より厳しいのか。
母は翌日が早番のときには私のアパートの元自分の部屋で猫と寝る。
昔からすべての小動物は母の布団に集まる。体温が高いのだろう。
今日の晩ご飯は米、そうめん、いなり寿司。