しょんべんおばけ日記

40代会社員 Agender Aromantic

北海道のLGBT理解促進セミナー 感想(お前らだろ「余地がない」って言ってるのは)

北海道主催のLGBT理解促進セミナーを聞いた。

やっているのは北海道環境生活部くらし安全局道民生活課。

テーマは「性のあり方の多様性の理解と認め合う職場や地域づくり」

講義は2部構成で、道の職員から「性のあり方の多様性(にじいろガイドブック)について」を30分解説し、NPO法人L-Portの講師が「多様な性を生きる私たちのこと」と題して45分講演。最後に質疑応答と道からのお知らせがあり、合計2時間弱。2023年2月、zoom開催。

 

にじいろガイドブックのDLはこちら↓

LGBT(性的マイノリティ)等に関すること - 環境生活部くらし安全局道民生活課

 

道職員はさくさくさくさくと、「マイノリティの人権を守るとこんなにいいことがあります、顧客から信用を得ることができます、明日からでも取り組めます、ナントカ指標がどうとかでこのような手続きで取得できます」などと要領よくテキパキテキパキ説明してゆく。典型的な「お役所のダイバーシティ推進政策」って感じで、マイノリティを包摂すれば役に立ちますよ的な目線にちょい心が折れる

講師のL-portの人もよく準備してあってめっちゃ面白かった。

内心、(ずいぶん良い職場にお勤めで…)とか気持ちがじめっとはしたけれど、適切な対応が取れている職場の話をいろいろと聞くのは楽しい。

 

なんか聞いてみてすごく、役所の人って面の皮厚いんだなぁって思った。

お前らだぞ「余地がない」って言ってるのは。

道は同性パートナーのいる同僚に結婚祝いひとつ出さず、孤立させ、退職に追い込んだ自分たちの職場をどう思っているんでしょう?ヤバすぎでしょ。

 

同性パートナーのいる道職員に結婚や扶養の認定を認めない対応をした北海道を訴えた〈元道職員SOGIハラ裁判〉という裁判がある。

被告である北海道は「事実上婚姻関係と同様の事情にある者に同性パートナーを含む余地はない」と主張している。道は解釈で同性パートナーを福利厚生の対象に含むことが可能なのにそれを拒み、この元職員は職場で孤立し退職に至った。裁判で他ならぬ道から「余地がない」という冷淡な言葉が発せられたことを、この講演を行っているこの優秀そうな職員が知らないはずはない。

私は道民としても、道は率先して性的マイノリティに対し平等な対応をしてくれるものと期待しており、また自分の職場にもそれを足場として取り組みを提案したいと考えていたので、この裁判での道の対応には憤慨している。

当の北海道がこんな人権を無視した対応していながら、このセミナーの担当者はよく恥ずかしげもなくこんなにキッパリと明朗な口調で「福利厚生を」とか言えるものだなと思った。

 

私も事前質問でパートナーシップ制度導入の見通しなどをフォームに記入しておいたけど、セミナーの中では何も言及はなかった。

 

 

LGBTQの人権、10番目にのってるから読んでねって言ってたやつ。

北海道人権施策推進基本方針について - 環境生活部くらし安全局道民生活課

うーん…行政の取り組み、市民側も情報を集めたり意見言ったりした方が良さそう。窓口にいろいろと問い合わせとかしてみたらいいのかなあ?

直道のメッセージには「インターネットによる人権侵害」について書いてあるからみんな、オンラインでの人権侵害に反対する動画を作って応募してねっていうんだけど、インターネットよりも政治家のが悪質でしょ。何なの?「隣に住んでいたらいやだ」って。

自民党は保守議員を追放しろ」って動画作って送ったろか。

 

そう言えばパートナーシップ制度については以前、渕上綾子議員が北海道議会で質問してるのを見たけど、道の返答はゼロ回答って感じで、内心絶対にやりたくないのがみえみえだった。

 

北海道議会会議録 (詳細検索|北海道議会会議録検索システム)で検索してみたら、渕上さんが性的マイノリティへの対応について教育や住宅など複数の部門に対して、「にじいろガイドブック」の内容を踏まえた対応をしているかを質問していた。

えらっ!コツコツやってる!えらっ!

今回のセミナーでも、例えば道営住宅に同性パートナーの入居資格を認めることにしたとか、道も取り組んでますよアピールがあったのは、この質問を受けてのことなんだろう。それにしたって、ただしパートナーシップ制度のある市に限る、とかいう条件がついていて、対象拡大したといえるレベルではない。国交省も住宅確保要配慮者について自治体に対応を求めている。ほとんどの都道府県はLGBTQをその要配慮者に含めているってついさっき「セクシュアルマイノリティと医療福祉教育を考える全国大会」で聞いた。しみったれなことをしてないで、全部の道営住宅に対象拡大してほしいものだ。

 

 

元道職員SOGIハラ訴訟の裁判の記事。

「性的指向による不公平なくして」 札幌・SOGIハラ訴訟:朝日新聞デジタル

 

全体的に見るとこのセミナー自体の出来は良かったと思う。

基本の情報も最近の話題も充実しているし、道の職員も講師も話は面白い。(トランスジェンダーを表すイラストが変だったけど指摘しといたからきっとなんとかするだろう)

 

しかし、パフォーマンス向上、多様な人材を活用しイノベーションを…的な、役に立つマイノリティを歓迎します的なやつをたっぷり聞かされても、それ「人権」ちゃうよなぁ