しょんべんおばけ日記

40代会社員 Agender Aromantic

成人の日に思い出す人

成人の日に毎年思い出すひとがいる。
ずいぶん前にTVで観た、成人式の振り袖を着た男性だ。写真館で撮ったもののようだった。彼は若くして亡くなったそうで、母親が「男性の姿になる前に成人式の着物の写真だけはどうしても撮ってほしいとの親の願いを叶えてくれた」と涙して、その写真がTVで大写しにされ、「性同一性障害」というテロップとともに美談として語られていた。

この若い人は、道南に住んでいて音楽が好きで友だちがたくさんいたという。

名前も姿も思い出せない。私が見た姿を記憶しておくことを、生前の彼は望まなかったろうと思うから思い出すたびに忘れたことにしていたけれど、もしかしたらそれは間違っていたかもしれないと最近思うようになった。
私もあなたの死を悲しんで悼んでもよいだろうか